産廃担当を引き継いだら、最初の30日でやるべきことは「書類の棚卸し → 法定義務の確認 → 年間業務のスケジュール化」の3ステップです。焦って新しいことを始める前に、まず自社の現在地を確認します。

このページは、総務・環境部門などで初めて産業廃棄物を担当する人向けの実務ロードマップです。

1週目:現状把握(書類の棚卸し)

最初にそろえるべきは次の書類です。あるか・ないかをチェックするだけで、自社のリスクが見えます。

書類確認ポイント保存義務
委託契約書収集運搬・処分それぞれと書面で締結済みか。法定記載事項を満たすか契約終了後5年
許可証の写し委託先の許可品目・許可期限が自社の廃棄物と合っているか契約書に添付
マニフェストA票〜E票が返送されているか。返送期限超過はないか5年
マニフェスト交付等状況報告書毎年6月末までに都道府県へ提出しているか
社内の分別ルール表現場の実態と合っているか

あわせて、現場を1度歩いてください。廃棄物置場に掲示板があるか、囲いがあるか、契約していない品目が置かれていないか——書類より現場のほうが多くを語ります。

2週目:法定義務を自社に当てはめる

産廃管理の義務は「全社共通」と「該当企業のみ」に分かれます。

全排出事業者に共通の義務

  1. 排出事業者責任の理解——処理を委託しても責任は自社に残る
  2. 許可業者への委託+書面契約(委託基準)
  3. マニフェストの交付・照合・保存
  4. 廃棄物の適正な保管(保管基準)

該当する場合のみの義務

  • 特別管理産業廃棄物を排出 → 管理責任者の設置
  • 前年度の産廃発生量1,000トン以上 → 多量排出事業者として処理計画の提出
  • 建設業 → 元請が排出事業者になる特例など建設廃棄物特有のルール

自社がどれに該当するかを2週目で確定させます。

3〜4週目:改善と年間スケジュール化

棚卸しで見つかった不備(契約書の品目漏れ、E票の未返送、許可期限切れなど)を、リスクの大きい順に潰します。優先順位は「無許可業者への委託の疑い > 契約書の不備 > マニフェスト運用の乱れ > 保管基準」の順が目安です。委託先に不安があれば業者選びのチェックポイント許可証の確認方法を参照してください。

最後に、年間の定例業務をカレンダーに落とします。

時期業務
4〜6月前年度マニフェストの集計、交付等状況報告書の提出(6月30日まで)
6月多量排出事業者:処理計画・実施状況報告の提出
通年E票の返送確認(交付から180日)、許可証の期限管理
年1回委託先の実地確認(条例で義務の自治体あり)
随時新しい廃棄物が発生したら品目判定 → 契約変更

30日後のゴール

  • 契約書・許可証・マニフェストの所在と不備が一覧化されている
  • 自社に適用される義務(特管・多量・業種特例)が確定している
  • 年間スケジュールが手帳に入っている

ここまでできれば、あとは産業廃棄物とは何かから順に知識を深めながら、日々の判断に対応できます。わからない品目が出たら品目別ガイド、罰則が気になったら罰則一覧へ。


参照法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第3条・第11条・第12条・第12条の2・第12条の3

よくある質問

前任者からの引き継ぎ資料が何もありません。何から始めるべきですか?

まず「委託契約書」「委託先の許可証の写し」「マニフェスト(過去5年分)」の3点を探してください。この3点がそろっているかどうかで会社の法令遵守状態がほぼ判断できます。見つからない場合は、処理業者に連絡して契約書の控えを確認するところからです。

産廃担当に資格は必要ですか?

排出事業者側の担当者に法定資格は不要です。ただし特別管理産業廃棄物を排出する事業場には「特別管理産業廃棄物管理責任者」の設置が義務付けられており、一定の資格要件(学歴・実務経験または講習修了)があります。

最低限覚えるべき法律は何ですか?

廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の1本です。特に「排出事業者責任(第3条・第11条)」「委託基準(第12条)」「マニフェスト(第12条の3)」の3か所を押さえれば、日常業務の判断の8割はカバーできます。

本記事は2026-07-18時点の法令・公開情報にもとづく一般的な解説です。個別の判断は、管轄の都道府県・政令市または専門家(行政書士・弁護士等)にご確認ください。