多量排出事業者とは、前年度の産業廃棄物の発生量が1,000トン以上(特別管理産業廃棄物は50トン以上)の事業場を持つ排出事業者のことです。該当すると、処理計画書前年度の実施状況報告書を毎年6月30日までに都道府県・政令市へ提出する義務が生じ、内容は公表されます(法第12条第9〜11項)。

対象の判定

区分基準(前年度の発生量・事業場単位)
産業廃棄物1,000トン以上
特別管理産業廃棄物50トン以上
  • 判定は事業場単位(工場・現場ごと)
  • 「発生量」ベースであり、脱水などの減量後ではなく発生時点の量で数えます
  • 汚泥を大量に排出する製造業・下水処理場、大規模解体工事などが典型的な該当者です

提出書類は2種類セット

書類内容期限
処理計画書今年度の減量化・リサイクルの目標と取組毎年6月30日
処理計画実施状況報告書前年度の計画に対する実績毎年6月30日

初年度は計画書のみ、2年目以降は「前年度の報告+今年度の計画」を毎年セットで出すサイクルになります。

処理計画書の主な記載項目

  1. 事業場の概要(業種・従業員数・廃棄物管理体制)
  2. 管理体制:責任者、社内フロー
  3. 前年度の発生量実績(種類ごと)
  4. 今年度の目標:発生量、減量化量、再生利用量、最終処分量
  5. 目標達成のための具体的な取組(分別強化、脱水設備、リサイクルルート開拓など)

書き方のコツ

  • 目標は「前年比◯%削減」のような検証可能な数値で。公表される書類なので、大風呂敷より着実な目標が信頼につながります
  • 取組欄は汚泥の減容化廃プラの分別混合廃棄物の現場分別など、実際に費用対効果のある施策を書くと、そのまま社内のコスト削減計画になります
  • 様式・記載要領は自治体サイトで配布されています(電子申請対応の自治体も増加中)

未提出・虚偽のリスク

計画書・報告書を提出しない、または虚偽の記載をした場合は20万円以下の過料の対象です。金額は小さいものの、多量排出事業者は行政のマークが強い層であり、未提出は立入検査の呼び水になります。

まとめ

  • 基準は事業場単位で産廃1,000トン/特管50トン(前年度発生量)
  • 計画書+実施状況報告書を毎年6月30日までに提出、内容は公表
  • 目標は検証可能な数値で。計画づくりは廃棄物コスト削減の棚卸しと捉えるのが得策

関連:交付等状況報告書(こちらは紙マニフェスト交付者全員が対象)と混同しやすいので注意してください。


参照法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条第9項〜第11項・第12条の2第10項〜第12項、同法施行規則 第8条の4の5〜第8条の4の7

よくある質問

多量排出事業者かどうかは会社単位で判定しますか?

いいえ、事業場単位です。工場・事業所ごとに前年度の発生量を集計し、産業廃棄物1,000トン以上または特別管理産業廃棄物50トン以上の事業場が対象になります。会社全体で1,000トンを超えても、単独で基準未満の事業場は対象外です。

提出した計画書は公開されますか?

はい。都道府県・政令市は提出された処理計画書・実施状況報告書をインターネット等で公表します。取引先や地域住民の目に触れる前提で、実現可能な数値目標を設定しましょう。

建設工事の現場は多量排出事業者になりますか?

なり得ます。建設業では元請が排出事業者となるため、大規模な解体・新築工事で現場単位の発生量が基準を超えれば対象です。工事現場の場合の記載方法は自治体の記載要領で確認してください。

本記事は2026-07-16時点の法令・公開情報にもとづく一般的な解説です。個別の判断は、管轄の都道府県・政令市または専門家(行政書士・弁護士等)にご確認ください。