産業廃棄物の処理は、「①分別・保管 → ②業者選定 → ③委託契約 → ④マニフェスト交付 → ⑤収集運搬 → ⑥中間処理 → ⑦最終処分 → ⑧確認・記録」の8ステップで進みます。
排出事業者が自ら手を動かすのは①〜④と⑧ですが、⑤〜⑦についても「適正に処理されているかを確認する責任」は排出事業者にあります。各ステップを順に見ていきましょう。
ステップ1:分別・保管
まず、自社から出る廃棄物を品目ごとに分別します。品目の判断は全20種類一覧を参照してください。
保管には産業廃棄物保管基準が適用されます。
- 周囲に囲いを設ける
- 見やすい場所に掲示板(縦横60cm以上。品目・管理者名・連絡先などを記載)を設置する
- 飛散・流出・地下浸透・悪臭発散を防止する
- ねずみ・蚊・はえ等が発生しないようにする
- 屋外で容器を使わず保管する場合は高さ制限を守る
ステップ2:業者選定と許可証の確認
委託できるのは、都道府県知事(政令市長)の許可を受けた処理業者だけです。許可証で次を確認します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 許可の区分 | 収集運搬業か、処分業か(委託内容と一致しているか) |
| 事業の範囲 | 委託したい品目が含まれているか |
| 許可の区域 | 収集運搬は積む場所と降ろす場所の両方の自治体の許可が必要 |
| 許可の期限 | 有効期限内か(通常5年、優良認定業者は7年) |
| 許可条件 | 条件欄に制限がないか |
優良認定(優良産廃処理業者認定制度)を受けた業者は、財務や遵法性の面で一定の基準を満たしており、選定の有力な判断材料になります。
無許可業者への委託は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金の対象です。ブローカーを介した委託や「無料回収」をうたう業者には特に注意してください。
ステップ3:委託契約の締結
処理委託は書面での契約が義務です(委託基準)。ポイントは次のとおりです。
- 二者契約の原則:収集運搬業者と処分業者、それぞれと直接契約する
- 法定記載事項(品目、数量、処分方法、処分場所、適正処理に必要な情報など)を漏れなく記載する
- 許可証の写しを契約書に添付する
- 契約書には収入印紙が必要(金額により異なる)
- 契約書は契約終了後5年間保存する
ステップ4:マニフェストの交付
廃棄物を業者に引き渡すときに、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付します。運用方法・期限・罰則はマニフェストとはで詳しく解説しています。
ステップ5:収集運搬
許可業者が廃棄物を処理施設まで運搬します。運搬車両には「産業廃棄物収集運搬車」等の表示と書面の携帯が義務付けられています。
自社の廃棄物を自社で運ぶ自社運搬の場合、収集運搬業の許可は不要ですが、車両表示や書面携帯などの運搬基準は同様に適用されます。
ステップ6:中間処理
焼却、破砕、脱水、中和、選別などにより、廃棄物を減量・無害化・安定化する処理です。中間処理後の残さ(燃え殻、ばいじん等)は、リサイクルされるか、最終処分に回ります。
ステップ7:最終処分(またはリサイクル)
埋立処分が代表的な最終処分です。最終処分場は受け入れられる廃棄物の性状により、安定型・管理型・遮断型に分かれます。近年はリサイクル(再資源化)率の向上により、埋立に回る量は減少傾向にあります。
E票の返送により、排出事業者は最終処分の完了と場所を確認します。
ステップ8:確認・記録
- B2票・D票・E票を期限内に受け取り、A票と照合する
- マニフェストを5年間保存する
- 紙マニフェストの場合、交付等状況報告書を毎年6月30日までに提出する
- 可能であれば、委託先の処理施設を実地確認する(条例で義務付けている自治体もあります)
全体の流れまとめ
| ステップ | 主体 | 排出事業者のやること |
|---|---|---|
| ①分別・保管 | 排出事業者 | 品目判断、保管基準の遵守 |
| ②業者選定 | 排出事業者 | 許可証の確認 |
| ③委託契約 | 排出事業者×業者 | 書面契約、印紙、5年保存 |
| ④マニフェスト交付 | 排出事業者 | 記入・交付、A票の控え |
| ⑤収集運搬 | 収集運搬業者 | B2票の返送確認(90日以内) |
| ⑥中間処理 | 処分業者 | D票の返送確認(90日以内) |
| ⑦最終処分 | 最終処分業者 | E票の返送確認(180日以内) |
| ⑧確認・記録 | 排出事業者 | 照合、5年保存、年次報告 |
各ステップの詳しい解説記事を順次公開していきます。まずはマニフェストとはからご覧ください。
参照法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条、同法施行令 第6条の2(委託基準)、同法施行規則 第8条(保管基準)ほか
よくある質問
産業廃棄物の処理を業者に頼む前に、まず何をすべきですか?
①廃棄物の品目・性状・量の把握、②委託先の許可証確認(品目・区域・期限)、③書面での委託契約の締結、の3つが委託前の必須ステップです。契約前にマニフェストの運用方法も業者と確認しておくとスムーズです。
収集運搬業者と処分業者は別々に契約が必要ですか?
はい。収集運搬と処分をそれぞれの業者に委託する場合は、収集運搬業者と処分業者それぞれと二者間で契約を結ぶ必要があります(いわゆる二者契約の原則)。1社が両方の許可を持つ場合は1本の契約にまとめられます。
中間処理と最終処分の違いは何ですか?
中間処理は焼却・破砕・脱水・中和などにより廃棄物を減量・無害化・安定化する処理で、最終処分は埋立などにより廃棄物を最終的に処分することです。多くの産業廃棄物は中間処理を経てから、残さが最終処分またはリサイクルされます。
本記事は2026-07-11時点の法令・公開情報にもとづく一般的な解説です。個別の判断は、管轄の都道府県・政令市または専門家にご確認ください。