マニフェストの交付は原則すべての産業廃棄物委託で義務ですが、法令が定める例外があります。代表格は「専ら物」「広域認定」「再生利用認定・指定」「自社処理・自社運搬」の4類型です。

「不要と思っていたら実は必要だった」は虚偽・不交付として罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)につながるため、例外の範囲を正確に押さえましょう。

マニフェストが不要になる主なケース

ケース内容注意点
① 専ら物古紙・くず鉄・あきびん類・古繊維の4品目を、専ら再生利用を行う業者に委託書面契約は必要。4品目以外が混ざると対象外
② 広域認定制度メーカー等が環境大臣の認定を受けて自社製品を広域回収(例:石膏ボード端材、複写機など)認定事業者のルート・伝票に従う
③ 再生利用認定・指定制度環境大臣認定または知事指定を受けた再生利用(例:廃ゴムのセメント原燃料化など)認定・指定の範囲内のみ
④ 自社処理・自社運搬排出事業者が自ら処理・運搬する場合自社運搬の基準は適用
⑤ 国・自治体への処理委託等市町村・都道府県が処理する場合など実務では限定的
⑥ 輸出に係る運搬バーゼル法等の手続きによる別途輸出手続きが必要

ケース別の実務ポイント

① 専ら物:もっとも身近な例外

古紙回収業者にダンボールを、スクラップ業者に鉄くずを出すルートが典型です。ポイントは3つ。

  • 対象は古紙・くず鉄・あきびん類・古繊維の4品目だけ。廃プラや木くずは含まれません
  • 「専ら再生利用の目的となる」業者への委託であること(単なる処分業者は対象外)
  • マニフェストは不要でも委託契約書は必要です

② 広域認定:メーカー回収ルート

新築現場の石膏ボード端材をメーカーが回収するケースなどが該当します。排出側はマニフェストを切らず、認定事業者の管理伝票で運用します。使えるかどうかはメーカー・製品ごとに異なるため、購入元に確認しましょう(石膏ボードの記事参照)。

④ 自社運搬:委託した瞬間に義務が復活

自社トラックで自社処理施設や保管場所へ運ぶ間は不要ですが、他社の運搬業者に引き渡した時点からマニフェストが必要です。「最初の区間だけ自社、その先は委託」という運用では交付タイミングを間違えやすいので注意してください。

判断フロー

  1. 品目は専ら物4品目のみか? → YESなら専ら業者への委託で不要
  2. メーカーの広域認定回収か? → YESなら認定ルートで不要
  3. 自社で運搬・処理するか? → YESなら不要(基準は遵守)
  4. 上記以外 → 原則どおり交付

迷ったら交付しておくのが安全です。不要なケースで交付しても罰則はありませんが、必要なケースで交付しないのは違反です。

制度の基本はマニフェストとは、書き方は記入例つき解説へ。


参照法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条の3第1項、同法施行令 第6条の2、施行規則 第8条の19(交付を要しない場合)

よくある質問

専ら物とは何ですか?

「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」のことで、古紙・くず鉄(古銅等を含む)・あきびん類・古繊維の4品目を指します。専ら物のみを扱う業者への委託は処理業の許可が不要とされ、マニフェストの交付も不要です(書面契約は必要です)。

自社の別工場に廃棄物を運ぶときはマニフェストが要りますか?

自社運搬(排出事業者自身による運搬)にはマニフェスト交付義務はありません。ただし車両表示・書面携帯などの運搬基準は適用されます。他社に運搬を委託した時点でマニフェストが必要になります。

マニフェスト不要のケースでも契約書は必要ですか?

ケースによります。専ら物の委託は書面契約が必要です。広域認定・再生利用認定のルートでは認定事業者のシステムに従います。「マニフェスト不要=何も要らない」ではない点に注意してください。

本記事は2026-07-16時点の法令・公開情報にもとづく一般的な解説です。個別の判断は、管轄の都道府県・政令市または専門家(行政書士・弁護士等)にご確認ください。